『ダナエ』

ダナエ

ダナエ

図書館本。まだ表題作しか読んでないけど、芸術家ってミステリーと相性がいいな。のりりんの「カットアウト」(『パズル崩壊』収録)とか『生首に聞いてみろ』も芸術家の話だったし、とても面白かったし今でも再読するくらい好き。人間をモチーフにした絵画や立体の損壊から「擬似殺人」「予告殺人」を連想するのは展開としてはベタなんだけど、その作品が作られた意図であるとか作者の感情・動機を探ることこそが実はメインだから、バリエーションが多くて予測しづらいとこがまず興味深い。麻耶っちの烏有シリーズにそういう側面があるかな。
そういえば、『カットアウト』も『ダナエ』も「人間を描かない絵画」によって、逆にその人のイメージが強く現れるという共通項があった。私は絵画や立体からそういうイメージを受けたことはまだないけど、空になった席を見て誰かのことを強く思い出すのと似てるのかもしれないな、なんて想像はできる。だからこのテの話を読むと感情が動いてしまう。小説家ってすごいな。
あ、いっこだけ気になった。途中を全部会話ですますのはどうかと。
パズル崩壊 WHODUNIT SURVIVAL 1992-95 (集英社文庫)

パズル崩壊 WHODUNIT SURVIVAL 1992-95 (集英社文庫)

生首に聞いてみろ

生首に聞いてみろ

夏と冬の奏鳴曲(ソナタ) (講談社文庫)

夏と冬の奏鳴曲(ソナタ) (講談社文庫)