『蛍』

螢
麻耶雄嵩のノンシリーズの長編。実はメルや木更津やうゆーさんを期待してたので肩すかしを喰らった感は否めない、かな。語り手の件は呼称の違いですぐにわかったんだけど、最後のあれにはほんとにびっくりした。紅一点は好みじゃないから襲われなかったのかと思ったらそういう理由だったとは。さらに、ミイラ取りがミイラになるあのラスト。先輩とかかなりいいキャラだったのに。容赦ないね!大好き!ところで帯には殺人鬼の名前が「ジョニー」になってたのに本編では「ジョージ」ってなってたあれは単なるミス?あれすらもひっかけかと構えて読んじゃったよ。マヤっちならやりかねんと思って。とにかくまだ一回しか読んでないから、何回も読みかえそっと。ほかにもなんか隠れてそうな予感。
 
で、あいかわらず「人間が描けてない」ってやつを見かけるんだけど、リアリティって万人の共通基準じゃないと思う。年齢・性別・職業・立場そのほかいろいな要素によって、付き合う人間、会ったことのある人間は違うわけだから。たとえば一般会話で語尾に「にょ!」とつける奴がまわりにいるかいないか、みたいな違いっつーか。えらそーに「こんなやつはいない」とか言ってる人って、ほんとにそんなひとがいたらどーすんのかねー。「一般的ではない」「特殊だ」とか言っても、そもそも「一般」という基準自体、人の数だけ存在するんだから。正確に「自分にとってはリアリティがない」って書けばいいんだけどね。なんてことを自戒もこめて思った。